別記2 結合金具に接続する消防用接続器具の構造、性能等に係る技術基準


第1章 総則


(趣旨) 

第1条 この基準は、「消防用ホースに使用する差込式又はねじ式の結合金具及び消防用吸管に使用するねじ式の結合金具の技術上の規格を定める省令」(平成25年総務省令第23号。以下「規格省令」という。)第2条第1項第4号に定める差込式結合金具又は同項第5号に定めるねじ式結合金具に接続する消防用接続器具及び当該器具に接続する消防用接続器具に係る構造、性能等を定めるものとする。 

 

(用語の意義) 

第2条 この基準において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

  • (1) 消防用接続器具 管そう(泡管そう及び2号消火栓若しくは補助散水栓に使用するものを除く。)、スムースノズル(2号消火栓及び補助散水栓に使用するものを除く。)、噴霧ノズル、媒介金具及びスタンドパイプをいう。
  • (2) 管そう 可搬式の放水専用の管そう(ノズルチップを除く。)をいう。
  • (3) スムースノズル 棒状放水専用のノズルチップをいう。
  • (4) 噴霧ノズル 棒状放水及び噴霧放水を兼用できるノズルをいう。
  • (5) 受け口 差込式結合金具又はねじ式結合金具(同等のかん合部を有する消火栓弁、採水口、送水口、吸水口、吐水口、中継口等を含む。第5号から第10号において同じ。)の差し口に連結する消防用接続器具の部分をいう。
  • (6) 差込式受け口 差込式結合金具の差し口に連結する消防用接続器具の受け金具、つめ、つめばね、パッキン等により構成される部分をいう。
  • (7) ねじ式受け口 ねじ式結合金具の差し口に連結する消防用接続器具の受け金具、しめ輪、パッキン等により構成される部分をいう。
  • (8) 差し口 差込式結合金具又はねじ式結合金具の受け口に連結する消防用接続器具の部分をいう。
  • (9) 差込式差し口 差込式結合金具の受け口に連結する消防用接続器具の差し金具、押し輪等により構成される部分をいう。
  • (10) ねじ式差し口 ねじ式結合金具の受け口に連結する消防用接続器具の差し金具の部分をいう。
  • (11) 媒介金具 受け口又は差し口を2以上有し、差込式結合金具又はねじ式結合金具の差し口又は受け口相互を媒介し、連結する金具をいう。
  • (12) スタンドパイプ 地下式消火栓に接続し、地上で吸水に使用する消防用ホース又は消防用吸管まで導水する可搬式の管をいう。 

(区分) 

第3条 消防用接続器具の区分は、受け口(スムースノズルにあっては、ノズル結合部)又は差し口(管そうにあっては、ノズル結合部の寸法により、次の各号に定めるところによる。 

  • (1) 管そう 受け口の寸法の呼称75、呼称65、呼称50、呼称40及び呼称30とJIS(B 9913に定めるノズル結合部の大きさの呼びの組み合わせで区分する。
  • (2) スムースノズル JIS B 9913に定めるノズル結合部の寸法により呼称75、呼称65、呼称50 及び呼称40 と放水口の呼称口径の組み合わせで区分する。
  • (3) 噴霧ノズル受け口の寸法により呼称40、呼称30及び呼称25に区分する。
  • (4) 媒介金具 両側の受け口又は差し口の寸法により呼称150、呼称125、呼称100、呼称90、呼称75、呼称65、呼称50、呼称40、呼称30及び呼称25(差込式の受け口又は差し口にあっては呼称150、呼称125、呼称100及び呼称90を消防用吸管に用いるもの(以下「吸管用」という。)の受け口又は差し口にあっては呼称40、呼称30及び呼称25を除く。)の組み合わせで区分する。
  • (5) スタンドパイプ 流入側の受け口と流出側の差し口の寸法により呼称100、呼称90、呼称75、呼称65、呼称50及び呼称40の組み合わせで区分する。 

(一般構造) 

第4条 消防用接続器具の構造は、次に定めるところによらなければならない。 

  • (1) 水流により構成部品が破損又は離脱せず、かつ、摩擦損失の少ない構造であること
  • (2) 人の触れるおそれのある部分は、危険防止のための措置が講じられていること
  • (3) 機能を損なうおそれのある附属装置が設けられていないこと
  • (4) 異種金属が接する部分は、腐食を防止する処理が講じられていること 

(差し口及び受け口の構造) 

第5条 差し口又は受け口を有する消防用接続器具は、差し口にあっては規格省令第7条又は第9条に、受け口にあっては規格省令第8条又は第10条に定めるところによらなければならない。 

 

(材質) 

第6条 消防用接続器具の部品又は部分で、次の表の左欄に掲げるものに用いる材料は、それぞれ同表の右欄に掲げるもの又はJIS Z 2201で定める方法により採取した4号試験片(つめバネにあっては5号試験片とする。)を用いてJIS Z 2241により試験を行った場合、引張り強さ及び伸びが同表の右欄に掲げるものと同等以上の強度を有するものでなければならない。 

部品又は部分  材           料 

差し金具 

受け金具 

押し輪 

胴 部 

しめ輪

JIS H 4080(アルミニウム及びアルミニウム合金継目無管)

JIS H 4100(アルミニウム及びアルミニウム合金押出形材)

JIS H 5120(青銅鋳物及びシルジン青銅鋳物)

スムースノズル 

開閉弁、開閉弁 

に相当する部分 

噴霧ノズル

JIS H 5121(青銅連続鋳物及びシルジン青銅連続鋳物) 

JIS H 5202(アルミニウム合金鋳物)

つ め

JIS H 5120(青銅鋳物) 

JIS H 5121(青銅連続鋳物及びシルジン青銅連続鋳物)

つめばね 

JIS G 4313(ばね用ステンレス帯鋼) 

JIS G 4314(ばね用ステンレス鋼線) 

JIS H 3110(リン銅及び洋白の板並びに条) 

JIS H 3130(ばね用ベリリウム銅、リン青銅及び洋白の板並びに条)

しめ輪の抜け止め部品

JIS H 4308(ステンレス鋼線材) 

JIS H 3260(銅及び銅合金線) 

JIS H 4080(アルミニウム及びアルミニウム合金継目 無管) 

JIS H 5120(青銅鋳物) 

JIS H 5121(青銅連続鋳物)

2 受け口のパッキンの材料は、次の表の左欄に掲げる項目に応じ同表の中欄に掲げる測定方法により測定した値が、同表の右欄に掲げる範囲内又はこれと同等以上の性能を有するものでなければならない。この場合において、耐油性及び耐老化性における試験温度及び試験時間は、それぞれ摂氏100度及び70時間とする。 

項  目 測 定 方 法 範  囲
 引張強さ (単位 MPa)  JIS K 6251 10以上 

伸 び ( 単 位 % )

JIS K 6251

500以上(差込式結合金具) 

100以上(ねじ式結合金具)

硬 さ  JIS K 6253

35以上45以下(差込式結合金具) 

75以上85以下(ねじ式結合金具)

耐油性

体積変化率 

(単位 %) 

JIS K 6258ナンバー三油 

50以上120以下(差込式結合金具) 

20以上80以下(ねじ式結合金具)

JIS K 6258ナンバー一油

 -10以上15以下(差込式結合金具) 

-5以上10以下(ねじ式結合金具)

耐老化性

引張強さ変化率 

(単位 %)

JIS K 6257

-15以内 

伸び変化率(単位 %)

JIS K 6257  

-40以内

硬 さ 変 化  JIS K 6257

15

(着脱力及び操作力) 

第7条 差込式差し口又は差込式受け口を有する消防用接続器具は、差し口にあっては結合金具の受け口と、受け口にあっては結合金具の差し口とそれぞれかん合及び離脱を行う場合に必要な力が、呼称に応じ、次の表に定める力以下となるものでなければならない。 

呼    称 75 65 50 40 30 25
力(ニュートン)       150  135 105 90 85 75

2 開閉弁又は開閉機能を有する消防用接続器具(噴霧ノズルを除く。)の開閉に要する操作力は、流入側から1.3メガパスカル(差し口又は受け口の寸法が呼称40以上の媒介金具(吸管用のものを除く。)にあっては2メガパスカル)の内圧力を加えた場合において、250ニュートン(管そう及びスムースノズルにあっては200ニュートン)以下でなければならない。

 

3 噴霧ノズルの開閉に要する操作力は、流入側から1メガパスカルの内圧力を加えた場合において、容易に操作できるものでなければならない。 

 

(耐圧試験) 

第8条 消防用接続器具は、差し口にあっては結合金具の受け口と、受け口にあっては結合金具の差し口とそれぞれかん合し、かつ、その他の消防用接続器具を結合した状態において、2メガパスカル(差し口又は受け口の寸法が呼称40以上の媒介金具(吸管用のものを除く。)にあっては3メガパスカル、噴霧ノズルにあっては1.5メガパスカル)の内圧力を5分間加えた場合、き裂、著しい変形、漏水等が生じず、かつ、かん合部又は結合部から離脱しないものでなければならない。ただし、噴霧ノズルにおける漏水にあっては、使用上支障がないものであれば、この限りでない。 

 

(漏水試験) 

第9条 差し口又は受け口を有する消防用接続器具は、差し口にあっては結合金具の受け口と、受け口にあっては結合金具の差し口とそれぞれかん合し、かつ、その他の消防用接続器具を結合した状態において、1.3メガパスカル(差し口又は受け口の寸法が呼称40以上の媒介金具(吸管用のものを除く。)にあっては2メガパスカル、噴霧ノズルにあっては1メガパスカル)以下の任意の内圧力を加えた場合、かん合部から漏水しないものでなければならない。

 

2 開閉弁又は開閉機構を有する消防用接続器具(逆止弁又は逆止弁に相当する機能を有するものを除く。)は、弁又は弁に相当する部分を閉止して、流入側に1.3メガパスカル(差し口又は受け口の寸法が呼称40以上の媒介金具(吸管用のものを除く。)にあっては2メガパスカル、噴霧ノズルにあっては1メガパスカル)以下の任意の内圧力を加えた場合、弁又は弁に相当する部分から漏水しないものでなければならない。 

 

(繰返し試験) 

第10条 差込式差し口又は差込式受け口を有する消防用接続器具は、差し口にあっては結合金具の受け口と、受け口にあっては結合金具の差し口とそれぞれ1,000回かん合及び離脱の操作を行った場合、き裂、著しい変形等が生じず、かつ、機能に異常を生じないものでなければならない。 

 

2 防食被膜を施した消防用接続器具は、前項の試験を行った場合、防食被膜がはく離しないものでなければならない。 

 

(曲げ試験) 

第11条 差し口又は受け口を有する消防用接続器具(スムースノズルを除く。)は、差し口にあっては結合金具の受け口と、受け口にあっては結合金具の差し口とそれぞれかん合した状態において、1.3メガパスカル(差し口又は受け口の寸法が呼称40以上の媒介金具(吸管用のものを除く。)にあっては2メガパスカル)の内圧力を加え、かん合部に次の式で求められた曲げモーメントが生じるように、差込み方向に対して直角に力を加えた場合、かん合部から離脱せず、き裂、変形等を生じないものであり、かつ、機能に異常を生じないものでなければならない。

M(ニュートンミリメートル)=300N×1.5×(呼称×15)mm 

 

(落下試験) 

第12条 消防用接続器具は、受け口にあっては結合金具の差し口に、差し口にあっては結合金具の受け口にかん合し、かつ、その他の消防用接続器具を結合した状態(スタンドパイプにあっては受け口及び差し口にかん合しない状態とする。)において、高さ1m(吸管用の媒介金具にあっては0.7m)の位置から胴部を水平にしてコンクリート床面に自由落下させた場合、かん合部から離脱せず、かつ、機能に異常を生じないものでなければならない。ただし、吸管用の媒介金具で常時消防ポンプ自動車に固定するものにあっては、この限りではない。 

 

(腐食試験) 

第13条 消防用接続器具は、JIS Z 2371(塩水噴霧試験方法)に定める試験方法により塩水を8時間噴霧した後に16時間放置することを1サイクルとして5回繰り返した後、水洗いをして24時間自然乾燥させた場合、機能を損なうおそれのある腐食が生じないものでなければならない。 

 

(表示) 

第14条 消防用接続器具は、次に掲げる事項を容易に消えないように表示しなければならない。

  • (1) 製造者又は商標
  • (2) 製造年
  • (3) 管そうにあっては受け口の呼称とノズル結合部の大きさの呼びの組み合わせ、スムースノズルにあってはノズル結合部の大きさの呼び及び放水口の口径、媒介金具にあっては両端の呼称の組み合わせ、噴霧ノズルにあっては受け口の呼称、スタンドパイプにあっては流入側と流出側の呼称の組み合わせ 
  • (4) 噴霧ノズルにあっては、開閉方向を示す矢印及び開閉位置並びに棒状放水及び噴霧放水の切り替え位置
  • (5) 媒介金具で吸管用のものにあっては「吸」の文字
  • (6) 媒介金具で開閉弁又は開閉機能を有するものは、流水方向を示す矢印 

 

第2章 管そう


(管そうの構造) 

第15条 管そうの構造は、次の各号に定めるところによらなければならない。 

  • (1) 受け口、胴部、ノズル結合部等により構成するものとする。
  • (2) ノズル結合部は、JIS B 9913のおねじに適合するものであること
  • (3) 胴部に銅管、アルミニウム管等を使用するものにあっては、当該管は受け口及びノズル結合部との接合部において45度以上折り曲げられ、又は同等の抜け止め措置を講じたものであること。ただし、受け口の呼称が40以下のものにあっては、この限りでない。 

(管そうの破壊圧試験) 

第16条 管そう(受け口の寸法が呼称30のものを除く。)は、受け口を結合金具の差し口にかん合し、かつ、ノズルを結合した状態において、3.0メガパスカルの内圧力を5分間加えた場合、き裂又は破損を生じず、かつ、かん合部又はノズル結合部から離脱しないものでなけ

ればならない。 

第3章 スムースノズル


(スムースノズルの構造) 

第17条 スムースノズルの構造は、次の各号に定めるところによらなければならない。 

  • (1) ノズル結合部はJIS B 9913のめねじに適合するものであること
  • (2) 放水口の呼称口径は、放水口の内径とし、13㎜、15㎜、17㎜、19㎜、20㎜、23㎜又は26㎜とする。ただし、呼称40及び呼称75にあっては、この限りでない。
  • (3) 放水口の呼称口径の許容範囲は、放水口の呼称口径+0.2㎜-0㎜以内とする。
  • (4) 水路は滑らかに絞りこまれ、かつ、放水口の直状部は呼称口径に相当する長さ以上であり、滑らかに仕上げられていること 

(スムースノズルの破壊圧試験) 

第18条 開閉弁又は開閉機構を有するスムースノズルは、管そうに結合した状態において、3メガパスカルの水圧力を5分間加えた場合、き裂、破損を生じず、かつ、ノズル結合部から離脱しないものでなければならない。 

 

第4章 噴霧ノズル


(噴霧ノズルの構造) 

第19条 噴霧ノズルの構造は、次の各号に定めるところによらなければならない。 

  • (1) 受け口、握り手部、胴部、棒状放水及び噴霧放水の切替え部、ノズル開閉操作部等により構成するものとする。
  • (2) 通水状態において、棒状放水及び噴霧放水の切替え並びにノズルの開閉が容易にできるものであること 。

 

 (噴霧ノズルの放水性能試験) 

第20条 噴霧ノズルの放水性能は、次の各号に定めるところによらなければならない。 

  • (1) 棒状放水において、放水圧力0.17メガパスカル以上で、毎分130リットル以上の放水量を有するものであり、かつ、ノズル先端の高さ1メートル、仰角5度において射程が7メートル以上であること。
  • (2) 噴霧放水において、消火に有効な放射範囲を有するものであること 。

 

第5章 媒介金具


(媒介金具の構造) 

第21条 媒介金具は、流入側の受け口又は差し口、胴部、流出側の受け口又は差し口等により構成しなければならない。 

 

(媒介金具の負圧試験) 

第22条 吸管用の媒介金具(差込式の受け口又は差し口を有するものを除く。)は、差し口にあっては結合金具の受け口と、受け口にあっては結合金具の差し口とそれぞれかん合した状態において、内部の真空度を94キロパスカル以上として10分間放置した場合、き裂、漏れ、著しい変形等が生じないものでなければならない。 

 

(媒介金具の引きずり試験) 

第23条 媒介金具(吸管用のものを除く。)は、差し口にあってはホースを装着した結合金具の受け口を、受け口にあってはホースを装着した結合金具の差し口をそれぞれかん合した状態において、当該ホースを持って20メートル引きずった場合、かん合部から離脱せず、かつ、機能に異常を生じないものでなければならない。 

第6章 スタンドパイプ


(スタンドパイプの構造) 

第24条 スタンドパイプの構造は、次の各号に定めるところによらなければならない。 

  • (1) 流入側の受け口、胴部、流出側の差し口等により構成するものとする。
  • (2) 胴部に銅管、アルミニウム管等を使用するものにあっては、当該管は受け口及び差し口との接合部において45度以上折り曲げられ、又は同等の抜け止め措置を講じたものであること。ただし、受け口の呼称が40のものにあっては、この限りでない。
  • (3) レバー等により着脱するものにあっては、着脱に要する力は200ニュートン以下であること

第7章 機能を付加した消防用接続器具


(付加機能) 

第25条 この基準の定めによらない機能を付加した消防用接続器具は、当該使用範囲において仕様どおり有効に機能するものでなければならない。