第4 加圧送水装置等


加圧送水装置等は、令第11条第3項第1号ニ及びホ、第2号イ(5)及び(6)又は2号ロ(5)及び(6)並びに規則第12条第1項第2号、第3号の2、第7号、第9号、第2項第3号から第6号まで及び第3項第2号の規定によるほか、次による。 

1 設置場所


加圧送水装置等(制御盤を除く。)は、第3.3.(1)に定める場所に設置する。なお、屋外に設置する場合は、防滴措置として不燃材料の箱内に収納すること 。

2 加圧送水装置及び付属装置


(1) 1号消火栓と2号消火栓(広範囲型2号消火栓を含む。以下この号及び次号において同じ。)を併設する場合の加圧送水装置は、次によること 。

  • ア 加圧送水装置は、いずれの階においても、相互に隣接する2個の屋内消火栓を同時に使用した場合において、1号消火栓にあっては令第11条第3項第1号ニに、2号消火栓にあっては令第11条第3項第2号イ(5)又は第2号ロ(5)に規定する放水圧力及び放水量を満足するように設けること
  • イ 地階を除く階数が5以上の防火対象物で、かつ、各階の屋内消火栓の設置個数が1であるものの加圧送水装置は、いずれの階においても、当該階の屋内消火栓とその直下階の屋内消火栓との組み合わせで同時に使用した場合において、1号消火栓にあっては令第11条第3項第1号ニに、2号消火栓にあっては令第11条第3項第2号イ(5)又は第2号ロ(5)に規定する放水圧力及び放水量を満足するように設けること。

(2) 地階を除く階数が5以上の防火対象物で、かつ、各階の屋内消火栓の設置個数が1であるもの(1号消火栓と2号消火栓を併設するものを除く。)の加圧送水装置は、最上階及びその直下階の屋内消火栓を同時に使用した場合において、1号消火栓にあっては令第11条第3項第1号ニに、2号消火栓にあっては令第11条第3項第2号イ(5)又は第2号ロ(5)に規定する放水圧力及び放水量を満足するように設けること。

 

(3) ポンプを用いる加圧送水装置及びその付属装置は、次によること。

  • ア ポンプの吐出量 

(ア) 地階を除く階数が5以上の防火対象物で、全て1号消火栓を設けるものにあっては300リットル毎分以上、全て2号消火栓を設けるものにあっては140リットル毎分以上、全て広範囲型2号消火栓を設けるものにあっては180リットル毎分以上のものとすること 。

 

(イ) 放水量の異なる屋内消火栓を併設するものにあっては、第3.2.(2)により求めた規定水量に応じて、次に掲げる量以上の量のものとすること 。

規定水量(㎥)   吐出量(ℓ/min) 屋内消火栓の種類 
5.2  300 1号消火栓×2 
4.2 240 1号消火栓+広範囲型2号消火栓 
3.8  220  1号消火栓+2号消火栓 
3.2  180  広範囲型2号消火栓×2 
2.8  160  2号消火栓+広範囲型2号消火栓 
2.6  150 1号消火栓×1 
2.4  140 2号消火栓×2
1.6  90  広範囲型2号消火栓×1 

 

  • イ ポンプの全揚程 

ポンプの必要全揚程の算定は、次によること 

 

(ア) 配管の単位摩擦損失水頭は、使用する配管の種類及び呼びに応じ、第9章「配管の摩擦損失水頭の基準」によること。なお、易操作性1号消火栓、2号消火栓又は広範囲型2号消火栓にあっては、屋内消火栓設備の屋内消火栓等の基準(平成25年消防庁告示第2号。以下「屋内消火栓等基準告示」という。)に適合するものとして、日本消防検定協会の認定評価(以下「認定評価」という。)を受けている部分の摩擦損失水頭は、認定評価の際表示されている設計圧力損失値を摩擦損失水頭に換算した数値によること 。

 

(イ) 摩擦損失計算は、屋内消火栓1個当たり1号消火栓にあっては130リットル毎分、2号消火栓にあっては60リットル毎分、広範囲型2号消火栓にあっては80リットル毎分の水量が流れるものとして行うことができる。 

 

 (ウ) ホースの単位摩擦損失水頭は、使用するホースの呼称に応じ、次の表によること 。

平ホースの呼称   40 50

 流量130 ℓ/minにおける

ホースの摩擦損失水頭

(m/100m)

12 

(エ) 地階を除く階数が5以上で、かつ、各階の屋内消火栓の設置個数が1である防火対象物に係る摩擦損失計算は、最上階及びその直下階の屋内消火栓を同時に使用するものとして行うこと 。

  • ウ ポンプの設置 

ポンプは、次に適合する場合は他の1の消火設備に限り兼用することができる。 

 

(ア) ポンプの吐出量が、次のA又はBに定める量以上の量であること 。

 

A 屋内消火栓設置階にポンプを兼用する他の消火設備を設置する場合は、屋内消火栓設備の規定水量に他の消火設備の規定水量を加算した量 

 

B 屋内消火栓設置階以外の階にポンプを兼用する他の消火設備を設置する場合は、それぞれの消火設備のうち規定水量の大なるものの1.5倍としたもの又はAに準じた量 

 

(イ) ポンプの吐出側直近には、消火設備ごとに止水弁が設けられていること 

  • エ 付属装置 

(ア) 呼水装置は、専用のものとすること 

 

(イ) 地上設置型フート弁を設置する場合は、一般財団法人日本消防設備安全センター(以下「安全センター」という。)の性能評定を受けたもので、その評定条件の範囲内で設置するほか、次によること 。

 

 A 落水した場合に、防災センター等(規則第12条第1項第8号に規定する防災センター等をいう。以下同じ。)において警報により容易に覚知できるよう措置されていること 。

 

 B Aによる移報用電気配線は、規則第12条第1項第5号の規定の例により設けてあること 

  • オ 水中ポンプ 

水中ポンプを設置する場合は、アからウまでによるほか、次によること(図1-2-19) 

(ア) 水槽等には、水中ポンプを容易に点検することができる蓋を設けること 。

 

(イ) 水中ポンプは、水槽等の底面から5センチメートル以上の位置で、かつ、水槽等の壁面からポンプの中心までの距離がポンプストレーナー部分の外径の2倍以上の位置に設けること 。

 

(ウ) 水中ポンプ吐出側の配管には連成計又は圧力計を設け、かつ、当該ポンプの吐出口から止水弁にいたる配管の最頂部には、自動空気抜き弁を設けること 。

 

(エ) 水源の水位は、常時、水中ポンプの最低起動水位(ポンプが全部水没する水位)以上にあること 。

 

(オ) 水温上昇防止用逃し装置は、規則第12条第1項第7号ハ(ト)の規定にかかわらず、これを設けないことができるものとする。

水中ポンプを設置する場合 消火設備 水源
図1-2-19 水中ポンプを設置する場合

(4) 高架水槽を用いる加圧送水装置は、(3).ア、イ及びウの例によるほか、次によること。

 

  • ア 高架水槽の貯水量が有効水量のおおむね2分の1以下となったときに、音響により警報を発するための信号を発信する減水警報装置が設置されている場合にあっては、規則第12条第1項第7号イ(ロ)に規定する水位計を設けないことができるものとする。
  • イ アの減水警報装置の発信部は、フロートスイッチ又は電極とすること
  • ウ アの減水警報装置が作動した旨を音響及び灯火により防災センター等において容易に覚知できる装置を設けること。ただし、自動火災報知設備の受信機でこの表示を行い、及び警報を発することができる場合又は規則第12条第1項第8号の規定により総合操作盤が設けられている場合にあっては、この限りでない。 

(5) 圧力水槽を用いる加圧送水装置は、(3).ア、イ及びウの例によるほか、次によること。

  • ア 圧力水槽が、労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号)に規定する第二種圧力容器に該当する場合は、圧力容器構造規格(平成15年厚生労働省告示第196号)に適合したもの(機械等検定規則(昭和47年労働省令第45号)に規定する刻印を付したもの)とすること
  • イ 圧力の自然低下及び水位低下を防止するための自動加圧装置等を設けること 。

 

3 圧力調整措置


屋内消火栓のノズルの先端における放水圧力が0.7メガパスカルを超えないための措置は、次の方式とする。ただし、これらと同等以上の確実性を有する方式とする場合は、この限りでない。 

 

 

(1) 配管系統を高層階用・低層階用の別系統とし、それぞれ専用の配管及び加圧送水装置を設ける方式(図1-2-20) 

(2) 配管途中の中間階に中間水槽及び中継ポンプを設ける方式 

この場合の中間水槽は、有効水量を令第11条第3項第1号ハ、第2号イ(4)、第2号ロ(4)、若しくは条例第39条第3項の規定又は第3.2.(2)の基準により算出した量の25パーセント以上とするほか、中継ポンプの吸水側配管と吐出側配管との間にはバイパス配管(逆止弁を設けた配管をいう。)を設けること(図1-2-21)

配管系統を高層階用・低層階用の別系統とし、それぞれ専用の配管及び加圧送水装 置を設ける方式
図1-2-20 
配管途中の中間階に中間水槽及び中継ポンプを設ける方式
図1-2-21

(3) 配管系統を高層階用・低層階用の別系統とし、高層階については加圧送水装置により、低層階については高架水槽により調整する方式(図1-2-22)

配管系統を高層階用・低層階用の別系統とし、高層階については加圧送水装置により、 低層階については高架水槽により調整する方式
図1-2-22

(4) 金属製管継手及びバルブ類の基準(平成20年消防庁告示第31号。以下「金属製バルブ類等の基準」という。)に適合するものとして、登録認定機関が行う認定(以下「認定」という。)を受けた一次圧力調整弁又は減圧弁を認定の使用範囲内で設ける方式。

 

(5) 圧力調整装置によるもので、消火栓開閉弁に組み込まれたもの又は消火栓開閉弁の直近に設けられたものにより調整する方式 。

4 制御盤


制御盤は、次表の左欄に掲げる区分に応じ、それぞれ右欄に掲げる場所に設置すること 。

 

制御盤の区分  設  置  場  所 
第1種制御盤  特に制限なし 
第2種制御盤  不燃室 
その他 

不燃室(電気室、機械室、中央管理室、ポンプ専用室その他これらに類する室に限る。)

又は加圧送水装置等の不燃専用室(第3.3.(1)に定める場所に限る。)

(注) 不燃室とは、不燃材料で造られた壁、柱、床及び天井(天井のない場合にあっては屋根)で区画され、かつ、窓及び出入口に防火戸を設けた室をいう。 

5 起動装置


(1) 起動用水圧開閉装置を設ける場合の起動用水圧開閉器(以下「圧力スイッチ」という。)

の設定圧力は、当該水圧開閉器の位置における圧力が、次のア又はイのうちいずれか高

い方の圧力値に低下するまでに作動するよう調整されたものとすること 

  • ア 最高位又は最遠部の消火栓開閉弁の位置から起動用水圧開閉器までの落差による圧力に次の圧力を加えた値 

     1号消火栓の場合(易操作性1号消火栓を除く。):0.2メガパスカル 

     易操作性1号消火栓又は広範囲型2号消火栓の場合:H0+0.2メガパスカル 

     2号消火栓の場合:H0+0.3メガパスカル 

    (※H0は、易操作性1号消火栓、2号消火栓又は広範囲型2号消火栓の認定評価の際表示されている設計圧力損失値をいう。) 

  •    イ 第5.1.(1)により設ける補助高架水槽の取り出し配管の中心位置からの落差による圧力に0.05メガパスカルを加えた値 

(2) 易操作性1号消火栓、2号消火栓又は広範囲型2号消火栓の起動装置(消火栓開閉弁の開放又は消防用ホースの延長操作等と連動して加圧送水装置を起動させるものをいう。)を屋内消火栓箱又はその直近の部分に設ける場合は、自動火災報知設備の発信機及び受信機を経由して加圧送水装置を起動させる操作回路とすることができる。 

 

(3) 1号消火栓(易操作性1号消火栓を除く。)の消火栓箱の内部又はその直近の箇所に設ける操作部(自動火災報知設備の発信機を含む。)には、屋内消火栓設備の手動起動装置である旨を表示すること 。

 

(4) 1の防火対象物に2以上のポンプを設置する場合は、いずれの起動装置を操作しても当該設備のすべてのポンプを起動できるものとすること。ただし、第4.3.(1)による圧力調整措置を講じる場合又は設置する屋内消火栓が次の組み合わせである場合にあってはこの限りでない。 

  • ア 易操作性1号消火栓、2号消火栓及び広範囲型2号消火栓
  • イ 易操作性1号消火栓及び2号消火栓
  • ウ 易操作性1号消火栓及び広範囲型2号消火栓
  • エ 2号消火栓及び広範囲型2号消火栓 

 

6 起動表示


加圧送水装置のうち、ポンプを用いるものにあっては、当該ポンプが起動した旨を音響及び灯火により防災センター等において容易に覚知できる装置を設ける。ただし、規則第12条第1項第8号の規定により総合操作盤が設けられている場合又は自動火災報知設備の受信機でこの表示を行い、及び警報を発することができる場合にあってはこの限りでない。 

7 警報装置の表示


加圧送水装置のうち、ポンプを用いるものにあっては加圧送水装置の基準(平成9年消防庁告示第8号。以下「加圧送水装置の基準」という。)第6第1号(6)ニに規定する警報装置が作動した旨を音響及び灯火により防災センター等において容易に覚知できる装置を設ける。

 

ただし、総合操作盤又は自動火災報知設備の受信機でこの表示を行い、及び警報を発することができる場合にあってはこの限りでない。