![非常放送設備は主に収容人数で設置義務が発生](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=495x1024:format=jpg/path/saedceb5af74caefd/image/ia3567adcf3e117b0/version/1508564741/%E9%9D%9E%E5%B8%B8%E6%94%BE%E9%80%81%E8%A8%AD%E5%82%99%E3%81%AF%E4%B8%BB%E3%81%AB%E5%8F%8E%E5%AE%B9%E4%BA%BA%E6%95%B0%E3%81%A7%E8%A8%AD%E7%BD%AE%E7%BE%A9%E5%8B%99%E3%81%8C%E7%99%BA%E7%94%9F.jpg)
タイトルの“区分鳴動” と “一斉鳴動” というのは、火災報知設備の地区音響、つまりベルや非常放送の音のなり方を示しています。
まず、一斉鳴動はその名の通り火災信号が入った場合に建物すべての音響が一斉に鳴る方式です。
次に、区分鳴動について簡潔に言いますと「出火階およびその直上階に限り警報音が鳴動する方式」となります。
しかし区分鳴動に関して、いくつかルールがありますので、それについて以下に記させていただきたいと思います。………
区分鳴動と一斉鳴動について
区分鳴動が適用される防火対象物
![高層ビルでは一斉鳴動すると混乱](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=480x10000:format=jpg/path/saedceb5af74caefd/image/i9aada200335b70c7/version/1508564866/%E9%AB%98%E5%B1%A4%E3%83%93%E3%83%AB%E3%81%A7%E3%81%AF%E4%B8%80%E6%96%89%E9%B3%B4%E5%8B%95%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%A8%E6%B7%B7%E4%B9%B1.jpg)
区分鳴動は消防法にて明記されています。
「地階を除く階数が5以上で、延べ面積が3,000 ㎡を超える防火対象物」に適用することとされています。
(´-`).。oO(ただし、“消防署の指導” や “条例適用状況” によっては上記の対象外でも区分鳴動にする防火対象物もあるので注意が必要です。。)
今回実際現場にて対応し、紹介させていただきます区分鳴動の状況は、3階建てで延べ面積が3,000㎡以上の防火対象物のケースです。
(´-`).。oO(つまり、法的には一斉鳴動でも良かったんだナァ‥)
しかし、5階以上の場合にも同じようなノウハウが適用可能です。
(´-`).。oO(つまり参考になりますので、ご覧ください。。)
区分鳴動のルール
次に区分鳴動の具体的なルールについて、消防署に提出した書類と、実際に設定した非常放送設備の写真と共に記します。
区分鳴動のマトリックス表
これは「マトリックス表」といい、区分鳴動方式の場合は設備施工の際に、これを消防署に提出します。
「●」が出火階、「〇」が出火階以外の音響が鳴動する場所を表しています。
マトリックス表の見方について、簡潔に説明します。
1階が出火階●の場合に注目すると、3階以外に音響連動階〇の印がついているのがわかりますか?
(´-`).。oO(1階に●があるとき、3階にのみ何も記号がありません。。)
つまり、これは1階で出火した場合、3階で音響は鳴らないということを示しています。🚫
✍(´-`).。oO(3階の人は危険度が低いから、、ちょっと待ってもらいます。。)
非常放送設備の写真
マトリックス表だけではわかりづらいと思いますので、以下に写真を用いて簡潔に説明させていただきます。
ちなみに、堅穴区画(たてあなくかく)とは “エレベーターの昇降路” や “階段・パイプシャフト” などの建物の上下階を、文字通り縦(竪)に貫く穴の事です。
また、堅穴区画は、火災の際に煙の通り道になることから、危険度が高い空間であるとされています。
自動火災報知設備も、煙感知器を設けてフロアとは別の警戒区域に設定します。
①出火階が1階の場合は、直上階と堅穴区画に警報鳴動。※3階は無し
![出火階が1階の場合](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=310x10000:format=jpg/path/saedceb5af74caefd/image/i4f1de949f5842b81/version/1490939638/%E5%87%BA%E7%81%AB%E9%9A%8E%E3%81%8C1%E9%9A%8E%E3%81%AE%E5%A0%B4%E5%90%88.jpg)
②出火階が最上階の場合、出火階の堅穴区画のみ鳴動。※下の階は無し
![出火階が最上階](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=310x10000:format=jpg/path/saedceb5af74caefd/image/i0aeebebc54cd4572/version/1490939841/%E5%87%BA%E7%81%AB%E9%9A%8E%E3%81%8C%E6%9C%80%E4%B8%8A%E9%9A%8E.jpg)
③出火階が堅穴区画の場合、その堅穴区画のみ鳴動。※他は無し
![出火階が堅穴区画の場合](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=310x10000:format=jpg/path/saedceb5af74caefd/image/id7deae5265b36b87/version/1490939911/%E5%87%BA%E7%81%AB%E9%9A%8E%E3%81%8C%E5%A0%85%E7%A9%B4%E5%8C%BA%E7%94%BB%E3%81%AE%E5%A0%B4%E5%90%88.jpg)
区分鳴動の例外
![地階では区分鳴動の仕方が変化](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=480x10000:format=jpg/path/saedceb5af74caefd/image/i2ac12d15d3409db8/version/1508564908/%E5%9C%B0%E9%9A%8E%E3%81%A7%E3%81%AF%E5%8C%BA%E5%88%86%E9%B3%B4%E5%8B%95%E3%81%AE%E4%BB%95%E6%96%B9%E3%81%8C%E5%A4%89%E5%8C%96.jpg)
今回の例に挙げさせていただきました防火対象物には “地階” はありませんでしたが、地階は複数階ある場合でも、すべての地階が鳴動 します。
つまり、地階が出火階の場合は「出火階とその直上階及びその他の地階」が鳴動することとなります。
以下に、例を挙げます。
- B1Fが出火階の場合「1Fと地階すべて」が鳴動します。
- B3Fが出火階の場合「B1F・B2F,そして出火階のB3Fすべての地階」が鳴動します。
要するに、地階は区分鳴動の出火直上のルールにB1F以外は当てはまらないということです。
時間経過による放送内容の変化
![6型ベル](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=480x10000:format=jpg/path/saedceb5af74caefd/image/i5eb98a1716944459/version/1490942250/6%E5%9E%8B%E3%83%99%E3%83%AB.jpg)
また、非常放送設備の音響に関してですが、火災信号が入ってからの経過によって音声と、その鳴動箇所が違います。
以下にその “文言” と “鳴動の仕方” について記します。
火災信号が入った最初の警報音は 「○○階の火災報知器が作動した、現場を確認せよ」 という文言で、区分鳴動方式に則って放送されます。これを「発報放送」といいます。
発報放送から5分後に、「火事です、火事です。」という文言がサイレンと共に放送されます。これも区分鳴動方式に則って放送されます。これを「火災放送」といいます。
そして、“火災放送から” 5分後に「火事です、火事です。」という文言が、全館に放送される一斉放送になります。
つまり、発報放送から10分後に、「一斉火災放送」になるということです。
まとめ
![一斉鳴動と区分鳴動の違い](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/none/path/saedceb5af74caefd/image/i9376d1aa4e17938b/version/1508564932/%E4%B8%80%E6%96%89%E9%B3%B4%E5%8B%95%E3%81%A8%E5%8C%BA%E5%88%86%E9%B3%B4%E5%8B%95%E3%81%AE%E9%81%95%E3%81%84.jpg)
・ 区分鳴動方式は、いくつか消防法にて定められたルールがあります。
・ 階数が5以上で延べ面積が3,000 ㎡以上など規模の大きい防火対象物で火災が起こった場合の避難時に、パニックを起こさないよう、危険度の大きい階数から、順番に分けて火災を報知するためであると考えられます。
コメントをお書きください
長谷川 (水曜日, 11 10月 2017 16:41)
五階未満3000以下では、区分鳴動にしてはダメなんですか?
管理人 (水曜日, 11 10月 2017 17:27)
>長谷川様
コメント有難う御座います!
むしろ区分鳴動の方が安全性は高いので推奨したいところですが、受信機のベル端子が多いものを採用する必要がある他、配線工事も各警戒で別に設ける必要がある為、コスト面で不利になってきます。
本件も、一斉鳴動でよい現場でしたが、非常放送があったため、設定のみで区分鳴動に出来たことから、自主的に区分鳴動にしたといえます。
長谷川 (木曜日, 12 10月 2017 10:24)
ありがとうございました。勉強になりました。
松本 (木曜日, 01 3月 2018 19:35)
私どものマンションで自火報の更新工事がありました。以前は「一部鳴動→全館鳴動」だったのですが消防署の指導で「一部鳴動のみ」となりました。「一部鳴動のみ」は一般的なのでしょうか。
ちなみに14階建、70戸、5000平米です。これですと火災の発生をしらない住戸も出てきそうです。
管理人 (金曜日, 02 3月 2018 13:47)
>松本様
コメントありがとうございます。
規模の大きい共同住宅の自火報には“GP型3級受信機”というインターホンと繋がったものが設置されており、他の階は鳴動しないパターンもありますよ!
GP3級は“共同住宅特例”という、簡単に言うと防火区画がしっかりしていることを前提に、各住戸を別々の建物のように扱い、消防用設備などを設置できるというルールの下に設置されています。特例にも色々種類があるので一概にコレ!というのは調べないと分かりませんが…。
手前味噌ですが、“インターホンも火災報知設備である”という内容の関連記事です。
https://www.aokibosai.com/2016/11/01/%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%9B%E3%83%B3%E4%BA%A4%E6%8F%9B%E5%B7%A5%E4%BA%8B-%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/
点検先のGP型3級では、管理人室と当該火災感知部屋、そして外のインターホンの“計3箇所”から音が鳴ります。
管理人さんがいれば、その方が様子を観に行き通報、部屋内でインターホンが鳴れば部屋の人が気づける、外のインターホンが鳴ればその階の人が気づける。といった具合です。
余談ですが、つい最近弊社社員の自宅マンションの下の階が火事になったようです。
階数にして4階ほど離れていたそうですが、臭いがしたくらいで延焼による被害などは一切なかったようです。
また、管理人自身も火災の起こった共同住宅の一室の自火報を直しに行ったことがありますが、比較的新しい建物の場合、全くといっていいほど延焼がなかったですね。
もちろん、ずっとそのままであればスプリンクラーなどの自動消火設備がない限り、いずれ勢いは増しますが、大きい共同住宅で下手に火災を知らせて避難時にパニックになったり、火災が起こったフロアに接近する危険を考えれば、一部分だけに知らせることも効果的なのかなと個人的に思います。
防火区画は、スプリンクラー設備を省略できる位の位置づけにもなっています。
https://www.aokibosai.com/2018/02/20/%EF%BC%91%EF%BC%93%E6%9D%A1%E5%8C%BA%E7%94%BB%E3%81%A7%E3%82%B9%E3%83%97%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%BC%E8%A8%AD%E5%82%99%E3%82%92%E7%9C%81%E7%95%A5/
松本 (土曜日, 03 3月 2018 01:09)
管理人様、詳しいご説明をありがとうございました。共同住宅の場合、その規模にかかわらず火災警報は全住戸に必ず流れるものと思っていました。また、そうあらねばならないと思っていました。実際は一部分(火災発生住戸のある階とその上の階)にだけ知らせて他の住戸には知らせずに終了という場合もあるのですね。マンション火災の場合、火災は発生住戸のみ燃えるケースが多いようです。延焼したとしても真上の住戸だけで済むことがほとんどではないでしょうか。そう考えると一部分の警報と発生住戸と近隣住戸の避難をうながす警報でよさそうですね。
「インターホンも火災報知設備」も読ませていただきました。大変に参考になりました。
服部 (火曜日, 10 12月 2019 19:46)
30階のタワーマンションです
非常電話の故障により 今までに10回ほど 火災放送がありました
発 報 から2分後に 全館一斉放送になるので 、出火と 直上階の住人をスムーズに避難させるための 区分鳴動 方式が 機能していなと思います
非常電話を新しくする 以外に何か方法はないでしょうか お知恵を貸してください
稲垣 (土曜日, 22 5月 2021 09:38)
4類消防設備士の教科書で資格取得のため勉強していたのですが、防火対象物が区分鳴動方式の場合で火災現場が竪穴区画の時にどこの区画が発報するのか、その説明が省略されていて疑問に思っていました。こちらのページで疑問がスッキリ解消しました。やっぱり、現場の知識は凄いと思いました。おかげさまで甲種4類消防設備士試験にも合格することができました。心から感謝いたします。
管理人 (土曜日, 22 5月 2021 14:09)
>稲垣 さま
コメント有難う御座います!
現場の知識がお役に立てて幸いです。
今後共、何卒宜しくお願い致します!!
おへそ (月曜日, 31 1月 2022 17:07)
ミナカミさんのサイトに
「区分鳴動方式の場合は、原則として階段、傾斜路、エレベーター昇降路又はパイプダクト等に設置した感知器の作動と連動して、地区音響装置を鳴動させないこと。(昭和48年10月23日消防予第140号)」
と書かれているのですが、縦穴の感知器が反応しても地区ベルを鳴らさない理由があれば知りたいです。
また、今回の例は縦穴のベルを鳴らしているので原則から外れている例なのでしょうか。
よたろう (金曜日, 04 2月 2022 15:08)
消防機関で指導しているものですが、5階以上かつ3000㎡以上でないかぎり原則は一斉鳴動でなければなりません。区分鳴動にする理由は建物の人が一斉に避難を開始するとパニックに陥って逆に避難が遅れてしまうことを避けるためです。よって、一定の規模以上の大きさがないのに区分鳴動にすると単純に鳴動されない階(上階など)にいる人の避難が遅れてしまうので非常に危険です。火と煙は上へと向かうので上階の人の危険性は大きいです。趣旨がわかると法令を解釈することも少し楽になるかもしれません。
ちなみに本件のように地上3階、3000㎡以上の建物で区分鳴動にしていて、実際に火災が起きて上階の方の避難が遅れてしまった場合は過失に問われかねませんので鳴動方式を見直した方がよいかもしれません。
参考までに
管理人 (土曜日, 05 2月 2022 09:38)
>おへそ 様
堅穴で発報したら、堅穴警戒を区分鳴動させるのが一般的ではないでしょうか。
所轄消防署と協議して下さい。
あと、○○さんのサイトに‥と言って質問するなら、せめてリンク位は貼ってください。
管理人 (土曜日, 05 2月 2022 09:48)
>よたろう 様
当時、設置基準調べた上で、一斉鳴動でいいにも関わらず、設定および試験に手間のかかる区分鳴動にする様に指導があったので、それに従って区分鳴動にしました。そうしなければ消防検査に通らず、お客様に迷惑をかけてしまうからです。
区分鳴動の趣旨くらい分かりますよ。
そして何故に我々が “過失” に問われなければならないのでしょうか?
法に則り、かつ効果的な指導を平等に施すのは “消防機関” ではないですか?
もし火災が発生して、危険な状態になるかもしれないのであれば全国的に「5階以上かつ3000㎡以上ではない、非常放送が設置されている建物」に対して立入検査して下さい。
その後、指導が下った建物に対しては、我々業者が修正しに行きます。
宜しければ、どちら様か教えてもらっていいですか?弊社の問い合わせフォームより連絡下さい。
引き続きよろしくお願いいたします。
いさか (水曜日, 09 3月 2022 17:18)
初コメントです。
ブログタイトルと質問の内容がマッチしていないかもしれませんが失礼いたします。
大学のように大きな敷地の中に複数の棟がある場合、中央監視室に非常用アンプを設置し、それぞれの棟に出力しているかと思います。
その際の一斉鳴動とは各棟ごとという考え方でよろしいのでしょうか。
渡り廊下で繋がっている別棟へは移行タイマー等による一斉鳴動が必要になってくるのでしょうか。
また、このような棟ごとの鳴動の考え方はどの法令・条例などを参考すればよろしいでしょうか。
お手数ですがご教授願います。
ショウジ (金曜日, 03 11月 2023 23:48)
竪穴区画の区分鳴動について教えてください。
階段室については45mで警戒区域を分けるとのことですが、階段室内で火災が発生した場合、どのように鳴動するのでしょうか。